寄付した服が海を汚す?
リユース事業者が語る、正しい衣類の循環
「着なくなった服は寄付すればエコ」
日本ではそうしたイメージが今も強くあります。
しかし実はこの“寄付された服”が、世界で深刻な環境汚染や地域経済の混乱を生んでいることはあまり知られていません。
三共クリーニング では、毎日のリユース・リセール事業を通じて
本当に服を循環させるためには “寄付の仕方” を間違えてはいけない
と強く感じています。
今回は、その理由と、私たちが大切にしている「正しい衣類の循環」についてお伝えします。
1. なぜ寄付された古着が“汚染”につながるのか?
寄付という行為は一見善意そのものですが、現実はとても複雑です。
● 破れ・シミ・劣化した服が大量に含まれる
寄付に混ざる“着られない衣類”の量は想像以上。
現地では販売も再利用もできず、山のように積み上がります。
● 最終的に「埋め立て」か「海岸への不法投棄」
売れない衣類が大量に廃棄され、
海に流れ、マイクロプラスチック問題を引き起こす例もあります。
● 現地の繊維産業を圧迫
大量の古着が流入すると、
地域で服を作る産業が衰退し、人々の仕事が奪われることもあります。
つまり…。
❌ 破れ・強いシミ・カビなどを寄付 → 相手国の“負担”になる
善意のつもりでも、結果的には
環境汚染と経済的ダメージを加速させてしまうケースがある
というのが現実です。
2. 三共クリーニングのリユース・リセールで大切にしている基準
三共クリーニング は、「服を最後まで責任を持って扱う」ことを大原則としています。
私たちが徹底しているのは次の3つです。
■ ① 売れる状態に戻せる衣類のみ扱う
しみ抜き・補修・クリーニングで価値が再生できるものは
リセール(販売代行) へ。
状態が良く、次の誰かに渡せるものは
リユース(無料回収 → 再活用) へ。
■ ② 売れないものは寄付に回さない
破れ・大きなシミ・カビ・臭いが強いものなど
→ 寄付ではなく、適切に破棄 します。
これは「寄付先の負担を増やさないため」に必須です。
■ ③ 売れるものは“価値をつけて循環”させる
クリーニング・しみ抜き・補修を行い、
“売れる状態”まで整えてからリセールに回す。
これによって、
お客様にはメリット(売上・クローゼット整理)
地球にはメリット(廃棄削減)
次に使ってくれる人にもメリット
という三方良しの循環が生まれます。
3. ファストファッションが環境に与える負荷
ファストファッションは「安くて手軽」ですが、裏側では大きな問題を抱えています。
● 低価格・大量生産 → 大量廃棄
膨大な資源・水・エネルギーを使って作られた服が、
数回の着用で捨てられることも珍しくありません。
● 品質が低く、寄付しても使われにくい
耐久性が低いため、現地でも売れず、ゴミとして積み上がります。
● 修理・長く使う文化が衰退
「直すより買う方が早い・安い」という消費サイクルになり、
結果として環境負荷が加速します。
👉 だからこそ私たちは、ファストファッションの“使い捨てモデル”に反対しています。
服は消耗品ではなく、
直して・活かして・次につなげる資源
という考え方が必要です。
4. 私たちが目指す「衣類の価値再生サイクル」
三共クリーニングでは、
「クリーニング → しみ抜き → 補修 → リユース → リセール」
を一つの流れとして組み合わせた
“価値再生型”の循環モデル をつくっています。
これにより、
捨てられるはずだった服が再び活躍する
高価値の衣類はリセールで価値を取り戻す
回収した衣類が安易にゴミにならない
という、持続可能なループが生まれます。
これは単なるサービスではなく、
服に向き合うプロとしての責任だと考えています。
5. 最後に:寄付は“正しい基準”で行うべき
寄付自体が悪いわけではありません。
ただし、その前に必ず考えるべきポイントがあります。
✔ その服は「まだ着られる状態」か?
✔ 相手に負担を押しつけていないか?
✔ 本当に次の人が喜んで使えるか?
もし「着られない状態」なら、寄付ではなく適正処分。
もし「価値が戻る」なら、リユース・リセールで循環。
三共クリーニング は、
これからも “正しい衣類の手放し方” を伝え、
服が最後まで意味を持って使われる社会づくりに貢献していきます。






